波を観る

この土日は久しぶりに連休が取れて2日間バイクで遊びまくりました。
日曜日もセローで桃太郎ツーリングを楽しめましたがそれはまた後の記事で。
まずは土曜日のMT09トレーサーツーリングから。

目的は波の伊八
抑々波の伊八を目指すきっかけとなったのは数年前にツーリングで行った小布施にある岩松院が事の発端。

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ここには葛飾北斎の晩年の名作と言われている「大鳳凰図 八方睨み」という天井画があり、晩年の巧極まった北斎画があると聞いて居てもたってもいられなくなりバイクを駆って出かけたのだが、一般には北斎といえばまず富嶽三十六景、とりわけ「神奈川沖波裏」が有名なわけで、その北斎はといえば日本だけに留まらず海外に多大な影響を与えた芸術家で、特にモネ、ゴーギャン、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、音楽家ではドビッシューなど世界的著名人にまで広く衝撃を与えたとされるのは周知の事実。

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そのうちの傑作のひとつに「神奈川沖波裏」があるが、実はこの絵画のヒントとなるような多大な影響を与えた宮彫師がいたのだという事を最近知った。
それが波の伊八という宮彫師だという。

元々宮彫拝観をするのは好きな方で、そういえば少し前はバイクで魚沼まで行って雲蝶などを追いかけたり、東照宮に行って何人もいる左甚五郎(宮彫師の代名詞のようなもの)を見てきたりと色々バイクで渡り歩いたりもしていた。

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特に雲蝶の作風には個人的に大きく影響を受けたもので、雲蝶の破天荒というか滅茶苦茶というか、奔放な性格に似合わない繊細な立体的造形はただただ圧巻、迫ってくるような、ただの木片が雲蝶の手にかかるとまるで命が宿ってしまうような躍動感に包まれた彫刻に惚れ惚れしたものであり、そういった造形美に度々心を奪われてしまう。
あ。やっぱり雲蝶はいいですねぇ 久しぶりにアップしながら見ていたらまた直接観たくなってしまいます。

そんな中とある雑誌に目が留まった。
北斎の「神奈川沖波裏」には原型となる彫刻があり、それが波の伊八と呼ばれる宮彫師だと。
「関東では波の伊八がいるから波を彫るな」とまで他の彫師達に言わせしめた程名を轟かせたらしく、一体その彫刻の波がどのようなものなのか知りたくなって出かけてみることにしてみた。

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前日の予報では土曜日は晴れ間が出る、とあったのだが小田原は朝から小降り。
これでは出撃できず空模様を眺めながら雨がおさまる頃合いを見計らって出たのが10時近く。
夕方には大事な人と会う約束があったのでどうしても3時には戻って来なくてはならないので、波の伊八を見られたとしても2つが良いところか。

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場所的にはいすみ市にある 飯縄いづな寺と行元寺の二寺に絞ったのだが、理由は時間的な問題と、ここに波の伊八の名作が存在しているというのが理由だった。

まずは九十九里浜からほど近い飯縄いづな寺へ向かうことに。
小田厚~東名~保土ヶ谷バイパス~横浜首都高と乗り継いでアクアラインで千葉へ向かうのだが、風がやや強かったので安定走行で無理なく進んで行った。
市原で高速を下りてからはgoogle mapのナビ案内で進むのだが案の定、セローじゃなきゃこれは無理ですぜっていうあぜ道を案内してきたり、ここ人ん家だってば!と叫びたくなるような訳のわからないガイドに冷や汗をかきながら何とか到着。

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いづな寺駐車場には誰もおらず、拝観料を払おうとベルの呼び鈴も鳴らすのだが誰も出てこない。
一体どうゆう仕組みになっているのか、仕方なく一人奥へ進んで行くといきなり伊八を発見。

撮影禁止の為ネットから引っ張ってきた画像。

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これが「牛若丸と天狗」という波の伊八の最高傑作の一つ。
躍動感溢れる作品はなるほど感嘆してしまう程。
写真では伝わらないのでやはりこれはこの眼で観るしかない、としか言えないが素晴らしいものだった。
あまり時間がなかったので次いで行元寺を目指して移動。

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20分程度のまたもやセロー縛りの条件じゃなきゃ進めそうにないgoogle map案内で何とか到着。
スマホナビの限界だとは分かっていても新規でナビを買う気持ちになれないのはなぜだろう。
こんな案内をレジアスエースでされたら絶対進めないような狭い道などを遠慮なく案内してくるのだから本当は本物のナビが欲しい筈なのだけれどどうしても触手が動かないのは、それはきっと過去の記憶が拒むのだろうと思う。

わずか数年前に島根の出雲大社に向かった際、もうあと10分という場所から友人のナビであの天下の出雲大社を検索させた所、遥か10時間かけて埼玉県の出雲大社とかいう場所への案内が出された事があり、かなり有名なナビだったにも関わらずこの程度かよという記憶のインプットがナビの購入を萎えさせるのだと思う。

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さてそんなビックリナビに案内されながら、ようやく到着すると駐車場にバイクを停め、参道を進んで行くと山門、更に奥には本堂が見えてくる。

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ここで拝観料を払って見学となるのだが「色々解説をしますので少し待つように」と指示される。
この時点でもう12時半は回っていたので、3時までには帰宅したいこの身としてはさっさと拝観させて貰って帰路につきたいところだったのだが、他にも拝観者が待機していたので仕方なく説明を受けることになるのだが、これが・・・長い。
30分は説明して頂いていただろうか。
いや。本当に興味深い、寺の開山からの話を伺って徳川の庇護の由来など面白そうな時代背景との縦軸横軸を丁寧に説明してくれるのだが、やはりもう時間がない。
「では お立ちになってこの彫刻を間近にご覧になって下さい」という合図から拝観者が立ち上がった機を見て「ちょっと用事があるのでこれにて失礼」と退室したところ「お急ぎでしたらせめて『波に宝珠』だけはご覧になって下さい」と別間に案内してくれた。
良かった。これを見ずに帰れる訳がない。

すると別の、多分寺院の客殿にあたる場所に案内されここの欄間に彫られた波の伊八の傑作「波に宝珠」がそこにあった。

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波に宝珠、素晴らしいです。
欄間2面裏表に計4面彫られた彫刻を前に踊るような波の彫刻をまじまじと眺めていると、そこで別のガイドの方が「お急ぎとの事、ほんの1、2分だけで説明いたしますから」と急いで彫刻のガイドを初めてくれたのが、北斎がこの彫刻に影響を受けて「神奈川沖波裏」を画したという段になって、ガイドさんが「実は個人的には北斎の究極は岩松院の鳳凰図、八方睨みだと思うんです。あれを見ないと北斎は・・・」と言うので「見に行きました」と思わず口が滑って言ってしまった事で「ほう」とガイドさんを唸らせてしまい、そこから延々と説明が続けられるという見事な状態に。

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それでも貴重な話を、特に波の図柄は伊八の図がどうして芸術的に貴重であるのか、北斎の「神奈川沖波裏」は波の裏を見せたくてこのタイトルをなぜ付けたのか等詳しく教えてくれ、この波の裏側を描く技法を最初に編み出した人こそが波の伊八であるということを教わった。
そしてこの生きてうねる波の様が北斎を刺激し彼の画となり、後々それが世界中の芸術家に与えた影響を考えると波の伊八のこの欄間の彫刻の重みが窺い知れるものである。

こうして何とか二つの寺を回って波の伊八をこの眼に焼き付けられて感激したまま、帰路へ着くことに。

結局300km程度を半日で弾丸してきて、何とか3時には帰宅。
それにしても久しぶりに乗ったトレーサーの感覚はやはり正直Aモードでもまだ物足りなさは感じてしまった事に嘘は付けない。

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脳みそを置き去りにされるような14Rの怒涛の加速感を一度味わったしまった身体は、もうそんなアクセルワークはしちゃいけないし、しないと決めているものの、どうしてもまだ何かが足りないと思ってしまうのだ。

MT09トレーサー。本当に良いバイクなんだけどね~

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次 波の伊八を観に行くならこれかな。
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こんにちは
素晴らしい彫刻、波に宝珠はちょっと見てみたくなりました
時に追われず見てみたかったですね(汗)

隙間の時間でも充実した旅が出来る
やはり弾丸できるバイクは必須ですね(笑)
[ 2018/03/12 17:06 ] [ 編集 ]
こんばんは。
波の伊八の彫刻素晴らしいですね。
一度自分の目で見てみたいです。
時代は大正から昭和の初期ですが柴又帝釈天の彫り物も素晴らしいので
機会があれば来てください。
私も事前にポイント作って案内させますが、google mapのナビ案内はなんか裏でココ通らしてみって感じで操作されている感が
ありますね(笑)
[ 2018/03/12 23:48 ] [ 編集 ]
おはようございます。
う~~ん、素敵な記事ですね!見入っちゃいました。
北斎に影響を与えた波の伊八知りませんでした。
自分で見た感動を写真に出来ないのはちょっと寂しいですね(^^ゞ
googleナビは確かにすごい所を走らせますよねぇ、バイクでも「ここかい!」と思わず突っ込みたくなる事あるから、車じゃ大変なことになりますね(笑)
MT09じゃ物足らないって。。。恐ろしい(^^ゞ
[ 2018/03/13 06:41 ] [ 編集 ]
ナビは信じるな!
お疲れ~~っす!
私も以前ナビに現場住所入れたら「学校脇の階段下りてけ!」って案内されましたよ(^^;)
生徒にガン見されたの今でも思い出します(^^;)ww

神社仏閣行くと私もついつい彫刻に見入っちゃいますよ!
一枚の板から彫り上げてるんですから魂と言うか凄い気を感じますね!
自分も時間があればこんなツーしてみたいものです!
[ 2018/03/13 08:42 ] [ 編集 ]
Re: こんにちは
haseさん

思い付きで行ってみましたがかなり良かったです。
”伊八の飯”なども町興し的に行っているようなので食も併せて楽しめそうですよ。

サッと行って帰られる距離だと思っていたのですが・・・
アクアラインはあるとはいえまだ遠いです。
もっとじっくり廻りたいものです。
[ 2018/03/13 14:33 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
ちょいFさん

中々趣があって良かったですよ。
こうゆうのって写真じゃ伝わりきらないですからね。 自分の眼で観ないとよくわかりませんよね。

帝釈天も候補に挙げてるんですが東京はバイクに優しくないので駐輪場とか考えると二の足を踏んでしまっています。

google map ナビ・・・ おバカな割には行った場所とかガンガン記録していきやがって・・・
これ抑えられたら私の行動は全てお見通しですよ;; 怖いですw
[ 2018/03/13 14:36 ] [ 編集 ]
Re: おはようございます。
クマたん

久しぶりに宮彫を観に出かけてしまいました。
宮彫を検索していたら龍の宮彫を専門で追いかけているグループにぶつかってしまい、ちょっと興味をそそられている自分がおりますwww
千葉は林道やB級スポットだけじゃなく宮彫師も多く輩出していてそうゆう巡り方もまた楽しいかもしれませんね。

google mapナビ・・・やっぱりみんな感じてはいるんですねw
なんであんなガイドするんでしょうか?
オフ車専用ナビなんでしょうかね? google map
[ 2018/03/14 13:21 ] [ 編集 ]
Re: ナビは信じるな!
ムコしゃん

「学校脇の階段下りてけ!」ワロタw
みんな何かしらありますね~w
そういえば和歌山を14Rで走っていたら 思いっきり玉石転がってる河原を渡れと指示されたのを思い出しました。
死ぬだろがっ と。

絶景もいいし、たまには風情を味わってこんなのもいいかな、なんて。
いよいよ春本番ですね~
楽しいツーリングシーズンの到来ですね!
[ 2018/03/14 13:24 ] [ 編集 ]
ぱるさんこんにちは!^^
彫刻に視点を当ててツーリングをされるとは凄いっすね。
自分はそこに到着した事で満足しちゃったりして
次のポイントへ行っちゃうのであんまり掘り下げたりしないので
逆に記事として読ませてもらってとても面白いです。

自分もアフリカツインはポジションが楽で休憩なしで結構走れちゃいますが
CB1300とCRF1000は全然違うバイクで一緒にしちゃいけませんが
高速の加速はやっぱり多少もたついたりしますね^^
[ 2018/03/15 11:17 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
旅好きさん

景色だったり建築物だったり。
そうゆうのも好きだったりします。
バイクは本当、色んな楽しみ方がありますね。
地図広げれば未踏の地に思いを馳せたり。

今でもCBはとても良いバイクだったと本当に思います。
乗っていたバイクを基点にしちゃうからいけないのでしょうね。
今のバイクには今の良さもたくさんあるので、きっとまた乗り換えれば今のバイクがどれだけ良いか思い知らされたりするのかもしれませんねw
[ 2018/03/16 12:42 ] [ 編集 ]
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